僕と妻の結婚生活は、誰が見ても円満そのものに思えただろう。
控えめで優しい性格の彼女は、家事も抜かりなく、周囲からは「理想の奥さんね」とよく言われた。僕自身も、仕事から帰って彼女が出迎えてくれるだけで安らぎを覚えていた。
だが、夫婦生活というのは不思議なものだ。
愛しているのに、時に相手を疑い、試したくなり、あるいは失ってしまう恐怖に取り憑かれる。僕もまた例外ではなかった。美しい妻が、もし自分以外の男に微笑みを向けたらどうなるのか──そんな想像をしてしまうことがあった。
そんな折、ある男が僕ら夫婦の生活圏に入り込んできた。
きっかけは妻が趣味で通っていた教室だ。そこに年上の男性が新しく加わり、いつの間にか妻と親しく会話を交わすようになっていた。聞けば仕事も安定していて、話も面白いらしい。妻は「ただの仲間だよ」と笑っていたが、僕の胸の奥には言いようのない不安が渦巻いた。
ある晩、妻が夕食の席で何気なく言った。
「今度みんなで食事に行くんだって。誘われたから、参加してもいいかな?」
僕は笑顔で「いいじゃないか」と答えたが、心の中ではざわめいていた。みんなで、という言葉が本当なのか。たとえ大勢であっても、その中で彼女の視線が特定の男に向くのを想像するだけで、胸がざわついた。
当日、妻は珍しく念入りにメイクをして出かけていった。淡い色の口紅が、普段より艶やかに見える。その姿を見た瞬間、胸に重い石を抱えたような感覚が広がった。
夜遅く帰宅した妻は、どこか上機嫌だった。頬は赤く、瞳は潤んでいる。
「楽しかった?」と尋ねると、彼女は「うん」と微笑んだ。その笑顔に嘘はなかった。だが、僕には彼女がまだ誰かとの会話の余韻に浸っているように見えた。
その夜、彼女と同じベッドにいても、心は僕の隣にはなかったのかもしれない。そう思うと、嫉妬と同時に背徳的な興奮が胸を締めつけた。
妻があの男と出会ってから、二人の距離は少しずつ縮まっていった。
最初はただのサークル仲間の一人、そう思っていた。けれど、彼女の口から男の名前が出る頻度は確実に増えていった。「今日も会ったよ」「面白い話してくれたんだ」──ほんの些細な報告にすぎないのに、僕の耳には鋭い針のように突き刺さった。
ある日曜日、妻が昼下がりに出かける支度をしていた。
「サークルの人たちとカフェに行くの」
そう言う彼女の声は淡々としていたが、選んだワンピースは普段より華やかで、髪も丁寧に巻いていた。その姿を目にした瞬間、僕の胸の中で黒い炎が広がった。誰のために装っているのか。答えは言われなくても分かっていた。
帰宅した妻は楽しげに笑い、「やっぱり大勢で集まると面白いね」と言った。けれど、彼女の笑みの奥には、他の誰かを思い浮かべている影が見え隠れしていた。僕は嫉妬で胸が焼けるようだったが、同時にその姿を見て得体の知れない興奮を覚えていた。
夜、妻が寝静まったあと、僕は彼女のスマホを手に取った。罪悪感に苛まれながらも画面を覗くと、やはり男からのメッセージが並んでいた。
〈今日はありがとう、君と話せて楽しかった〉
〈また二人でゆっくりお茶しよう〉
何気ない言葉の羅列。だが、それ以上の意味を帯びていることは明らかだった。胸が締めつけられる痛みに襲われながらも、指先は震え、同時に熱く昂ぶっている自分がいた。
翌週、妻はまたも外出の支度をしていた。
「今日はちょっと遅くなるかも」
僕が「誰と?」と問うと、彼女は少し視線を逸らし、「友達と」と答えた。すぐに嘘だと分かった。だが僕はそれ以上追及できなかった。止めたいはずなのに、心のどこかで“行ってしまえ”と願っている自分がいたからだ。
その夜、僕はソファでただ時計の針を睨みながら時間を過ごした。想像は暴走する。妻が男と並んで座り、笑い合う姿。グラスを傾け、頬を赤らめる表情。そして二人きりになり、暗い街へ消えていく後ろ姿──。想像の中で嫉妬と怒りが渦巻くのに、同時にどうしようもない昂ぶりが下腹を熱くしていた。
深夜、帰宅した妻は乱れた髪を整えながら「ただいま」と小さく言った。
僕は「楽しかった?」と尋ねるのがやっとだった。彼女は少し驚いたように僕を見てから、静かに頷いた。その仕草に、僕は完全に打ちのめされた。疑いは確信へと変わり、同時に背徳の渦に引き込まれていった。
やがて、妻は隠さなくなった。
「今日はあの人と会ってくる」
そう告げられたとき、僕は一瞬息が詰まった。だが、意外にも口から出たのは「気をつけて」という言葉だった。拒絶も非難もできなかった。彼女の背に手を伸ばすこともなく、ただ玄関のドアが閉まる音を聞いていた。
その日、家の中はひどく静かで、時計の音がやけに大きく響いた。ソファに座り、窓の外を見つめながら、僕は自分の心の二面性をはっきりと感じていた。妻を奪われる痛みと、奪われていることへの異常なほどの興奮。その両方が同時に存在している。どちらかを否定すれば、もう片方も崩れてしまう。そんな危うい均衡の上に立っているのだった。
深夜、妻が帰宅したとき、頬は紅潮し、瞳は潤んでいた。その姿を目にした瞬間、すべてを理解した。彼女はもう僕の妻でありながら、同時に別の男の女でもある。僕は静かに「おかえり」と告げた。彼女は一瞬だけ視線を泳がせてから、小さく「ただいま」と返した。
その短いやりとりの中に、言葉では言い表せない確かな真実が潜んでいた。僕の胸に去来したのは、愛と嫉妬、痛みと快楽が複雑に絡み合った感情だった。
あの夜、妻が深夜に帰宅したときの表情は、僕の記憶に焼き付いて離れない。
頬は赤く上気し、まるで発光しているかのように色気を放っていた。髪は乱れ、香水とは違う、どこか生々しい残り香が漂っていた。その瞬間、彼女がどこで何をしてきたのか、言葉にされなくても分かってしまった。
「……ただいま」
小さな声でそう告げる妻に、僕は「おかえり」と返すしかなかった。その声はかすれていて、彼女に真実を問いただす勇気もなく、ただ受け止めることしかできなかった。
翌朝、彼女は珍しく食卓で無言のまま俯いていた。
「何かあった?」と聞くと、少し震える声でこう呟いた。
「……あなたに隠しごと、したくないの」
僕は息を飲んだ。ついにその時が来たのだと悟った。
彼女はしばらく黙ったまま箸を置き、やがて意を決したように顔を上げた。瞳には迷いと、そして決意が宿っていた。
「……あの人と、関係を持ってしまった」
その一言は、まるで胸を鋭い刃で貫かれたかのように痛かった。だが同時に、長く抱えていた予感が現実になったことへの奇妙な安堵もあった。心の奥で「やはりそうか」と呟いている自分がいたのだ。
彼女は言葉を続けた。
「本当は、最初は断ろうと思った。でも……寂しかったのかもしれない。あなたのことを愛してる、それは変わらない。でも、彼といると女として見てもらえている気がして……気づいたら、もう止められなくなってた」
頬を濡らす涙を見ながら、僕は声を失った。裏切られたはずなのに、なぜか彼女を責める気持ちが湧き上がらなかった。それどころか、彼女の告白を聞くことで胸の奥が異様に熱くなり、呼吸が苦しくなるほどの昂ぶりを覚えていた。
「……これからも彼に会うつもりなのか?」
かろうじて絞り出した声に、妻は小さく頷いた。罪悪感と欲望、その両方が入り混じった複雑な表情をしていた。
その瞬間、僕は理解した。もう後戻りはできないのだと。僕が拒絶しようが止めようが、彼女はすでに“妻”と“女”の二つの顔を持つ存在になってしまった。そして僕は、その事実から逃げるどころか、むしろ深く囚われている。
夜、ベッドに入ると、妻は僕の隣に横たわりながらも、どこか遠いところにいるようだった。
「……嫌いになった?」と怯えるように尋ねてきた彼女に、僕はただ首を振った。
「違う。むしろ、もっと愛しく思ってる」
言葉にした瞬間、自分でも信じられないほど心が軽くなった。奪われる痛みと同時に、奪われることでしか得られない高揚が僕を突き動かしていた。妻は涙を浮かべながらも、安心したように僕に身を寄せてきた。
それからの日々、僕らの関係は新しい段階へと進んだ。
妻は以前と変わらず家を守り、僕を支えてくれる。だがその一方で、彼のもとへ通い、女としての欲望を満たされて帰ってくる。僕はそれを知りながら何も言わず、ただ「おかえり」と迎える。その度に胸は軋むように痛み、そして同時に強烈な興奮が全身を駆け巡る。
ある夜、妻が彼と過ごした後に帰宅し、僕の腕に抱かれながら小さく囁いた。
「……私、あなたを裏切ってるのに、どうしてそんなに優しいの?」
僕は答えた。
「裏切られてるなんて思ってない。君が僕に戻ってきてくれるなら、それでいい」
その言葉を聞いた妻は泣きながら僕を抱きしめた。彼女の震える体を感じながら、僕は自分がもはや常識では測れない場所に立っていることを自覚していた。だが、その背徳の中でしか見えない真実もあった。
妻は確かに僕を愛している。それは嘘ではない。けれど、彼女は同時に別の男の腕に抱かれることを選んだ。その矛盾を抱えたまま生きていくのが、今の僕ら夫婦の形なのだ。
結婚生活がこれからどうなるのか、誰にも分からない。破滅に向かうのか、それともこの危うい均衡を保ち続けるのか。だが、ひとつだけ確かなことがある。
──妻が他の男に抱かれる瞬間こそ、僕という存在がもっとも強烈に浮き彫りになる。
嫉妬と愛情、痛みと快楽。すべてを飲み込みながら、僕はこれからも彼女と共に歩んでいく。背徳という名の鎖に繋がれたまま。
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